じいちゃんトライアスリートの旅

還暦過ぎのトライアスリートです

愛媛マラソン 2023【振り返り】

防府のそれとは全く異にする、愛媛マラソンのスタート前の賑わい。

自治体の長、タレント、元オリンピック選手らの登壇。

市民マラソンは、どこもこんなんだろうか。

好みは分かれるかもしれないが、私は残念ながら、防府派である。

粛々とスタートブロックに並び、静かにその時を待ち、淡々と走り出す。

まあ、それは置いて、愛媛県の数少ないイベントになっているのは間違いなく、松山市内のホテルは、開催をありがたがっているそうだ。

 

一番町の路面に鎮座する、坊っちゃん列車の汽笛を横に、一万余りのランナーはスタートした。

私はスタートブロックCで、先頭の後約1分45秒くらいでスタートラインを割った。(シューズ:ターサーRP3)

さあ始まった。やって来た。防府以来の積み重ねたことを発揮できる機会が。

どうなるのだろう。20キロあるいは30キロ先で何が待っているのか。

キロ5分前後で走り続ける3年前のようなアスリート気分はもう味わえないのだろうか。

お前も、もうお歳で、ただただそれに甘んじるしかないのか。

 

その指標となる最初の1キロのタイムは5:00。

決して高揚しているわけではないつもりだったが、上出来のペースだ。

上げるつもりもないのに、その後も5分内のペースを積み重ねていく。

5キロ、6キロとなんと4:37が続き、飛ばしすぎとブレーキをかけるほどに。

ただ心拍数がこんな前半で、すでに150を超えてしまっているので、このままでは持つはずがない。

しかし、調子の良さはまだ続いており、難関の平田の坂を上り終えた8キロでも、5:03と驚くほど。

しばらく走ると、隊列が横に広がって、少し詰まってきた感じ。

なるほど、グループの先頭に3時間30分のペースメーカーが風船をつけて走っている。

と言うことは、キロ5分で走ってくれているはず。

ここでしばらく紛れて走ろう。少し脚安めだ。

冷静な判断だ。

しかし、エイドでスポドリを飲むのに手間取ったりしていたら、いつの間にか置いていかれてしまった。

前を走る人たちの汗がすごい。

追い風になろうものなら、暑い暑い。

今日は脱水注意だ。

エイドでのスポドリは止まってでもしっかり飲み干し、バックにしのばせた塩タブも、適時しっかり補給。

足がつったらおしまいだぞ。

そんなことを考えながら、立岩川沿いのハーフ地点までやってきた。

タイムは1:43:17。

上出来じゃないか。

理論的には30分切りが可能だ。無理とはわかっていたが。

この時点で、防府よりは調子が良いことをはっきり自覚する。

25キロ、30キロと段差なく、走り続ける。

 

このまま行けそうだと思い始めた矢先、それは来た、やって来た。

余りつったことも無いような、右ふくらはぎの小さな筋肉が存在を主張し始めた。

ヤバい。

そのまま走り続けていると、徐々にピクピクが押し寄せてくる。

ここまで来てそれはないやろ。

走りはつらくないのだが、ピクピクがひどくなりそうで、止まるしかない。

その時間は15秒か、あっという間に後続が走り抜けていく。

そんなことを何度か繰り返し、できるだけ脚を棒のようにして走り続けた。

そして難関の平田の坂へ。

もちろんそんな状態だったので、だましだまし登ろうと思っていたのだが…。

なんと職場の友人が自転車で応援に来てくれていて、私に向かって大声で鼓舞し始めたのである。

それも自転車でづっと追い続けて。

こちらの事情を説明できぬまま、彼の鼓舞に乗せられて、なんと上り坂を限界のスピードで登ってしまった。どんどん前の人たちが落ちてくる。

不思議と脚つりはこの時だけはおとなしくしてくれていた。

気をよくして、下りも結構飛ばして、あと5キロくらいの地点までやって来た。

やはりピクピクは黙っていない。

見ると、道路わきの応援の方が、つり止めのスプレーを提供してくださっているではないか。

お願いして脚という脚全域にかけていただく。

だましだまし、あと2キロの地点へ。

心に決めていた。ここからは何があっても止まらないぞと。

元気な後続に抜かれながら、待ち焦がれた城山公園、フィニッシュゲートへ。

やり切った。

防府の借りは返せたかな。

余り距離は走らなかったけど、山を歩いて筋量を増やせたのが、後半の落ち込みを最小にできたかなと思っている。

それにしても、フルマラソンはほんと、走ってみないと判らない事があり過ぎて、魅力的だが、年に何回もはやりたくない。