いつも通りの時間に起き、いつものようにラジオ体操して、いつも通りのオートミールの朝食を摂り、8時半過ぎに自宅を出た。
目指すは、とべ動物園じゃなくて、隣の県総合運動公園。
初めてのマスターズ出場でいろいろ戸惑うことが多かったが、中でも極付は、スタート直前に係の方が見回りに来られ、パンツに付ける「何とかナンバーは?」と尋ねられる。
「はあ?」と私。
前の組がスタートしているので、我々は5,6分先にはスタートとなる。
どうもビブナンバーとは別に、会場で手渡すパンツに付けるナンバーがあるらしい。
紛らわしい。そんなん知らんし。
大急ぎで、受付まで走り(かなり距離があります)、「何とかナンバーはどこでいただけるのですか?」「あっち」
なんとか探し出し、9番と書かれた切れ端のようなものの4隅を安全ピンでパンツに付け、大急ぎでスタート地点まで戻った。
すでにスタートの準備は整っていて、スタート前の試走が始まるところであった。
係の方が、あなたはもういいですと制止される。
番号はスタート位置を示すもので、私は外周側の9番目であった。
この組は60歳代と、65歳代の混成であり、全員で11人というのもこの時に初めてわかった。
やっとからくりが理解できた頃、スタートが迫ってきた。
いろいろなことがあったため、また冷静さを失って、抑えて走るという大事なことが頭から抜けてしまっていた。
あっという間にスタート。
飛び出すつもりはなかったが、なぜか3位に付けてしまった。
たぶん前の二人は、60歳代。
毛頭付くつもりはないが、こうなると抑えることもできず、行ってしまうのが私の悪い癖である。
「ま、いいか」が出るのである。
抜かれることもなく、最初の300m地点を超える。
「あと3周走るだけだ」
次の400mも何とか苦しいながらも耐えて走れた。
「あと2周か」
ここら辺りから、段差をもってスピードが落ちていく自分を感じている。
心拍数的にいっぱいなのである。
嗚咽が始まる。
心拍限界の指標である。
どこまで落ちていくのか、どこまで踏ん張れるのか。
この周の2回目のカーブで後ろから足音が近づいてきた。
嫌な予感がする。
きっとあの人だ。
同年代グループでマークしていた人に違いない。
あっという間に抜かれ、見たビブナンバーはまさしくそれであった。
とても抵抗できなかった。
ゴール直前とかなら、若干の抵抗もできたかもしれないが。
どんどん背中が離れていく。
それでも、何とか最後の1周を走り切り、1500mという地獄の初体験は無事終わった。
きついけど、あっけないという気もした。
電光掲示板には何とか一番下に私の名前を確認でき、グループでは2位で終えることができた。
できすぎだったんじゃないかな。
タイムは6分03秒92。
悲しいスタートダッシュに終わったが、そのスピードが出せたのは、もしかしてクレアチンのおかげかもと思い始めている。いやきっとそうに違いない。
11月にもレースがあるが、リベンジするかどうかゆっくり考えてみよう。