(2022/11/4)愛媛スポレク陸上競技の800mに参加してきた。
マスターズ陸上と同じ要領で、5歳刻みの年代別で順位を競う。
トラックを走るのは9月のマスターズ陸上以来、2度目になる。
トラックを二周する、中距離種目での最短・最速種目とされ、位置取りや駆け引きなども非常に重要で、また選手同士の接触や転倒なども多く『陸上の格闘技』とも言われている。
そんな格闘技に陸上ど素人の私が参加してきた。
30分前の招集も無事にこなし、スタートまでの時間をトイレに行ったり、少し水を含んだりしながら、目の前の小学生のリレーを見るともなく見ていると、隣に座っているスポーツマン然とした若者が声をかけてきた。
「私は800mのレースに出るのが初めてなんですけど、スタート直後がカーブですが、あれは各自のレーンを守って走るのですか」と
当然私も初めてながら、多分そうですよと答え、カーブが終わったら内側に入っていいんじゃないですか、とかじったばかりの知識でなんとか返答した。
その後は互いにこれまでのレース遍歴みたいなことを披露し合い、最後になんとか3分を切りたいですねで、このレースにかける意気込みが一致した。
彼は駅伝の経験者であり、100mを12秒台で走れるランナーと判明した。
そして、30代の彼は800m走1組のレースに招集されていった。
スタート後は4位だったが、第3コーナー辺りで落ちてきた一人を追い越し、3位に浮上。苦しそうだが、耐えて走っているのが見て取れる。1,2位の選手との差は開くことなく、付いて行っている。最終周の鐘がなる。彼の息使い、苦しみながら耐えている気持ちがその走りからじかに伝わってくる。がんばれ。無事にホームストレートを走り切り、3位でゴール。私は思わず拍手を送っていた。
彼は4つんばいに伏して、激しく息を繰り返す。やっと起き上がり、私を見て一言「苦しかったー」
そうか、800mって本当に苦しいんや。
私にも闘争心が芽生えてきた。よし、思いっきり苦しんでやるぞと。
つぎは我々のレースの番だ。
与えられた6コースのスタートラインに立つ。
「オンユアマーク、パーン」一斉に走り出す。
少し抑え気味に入ったつもりだったが、カーブが終わってバックストレートに入り、内周に移っていく時、自分の前には誰もいないことが分かった。
やっちまった。次のカーブを超えるまで、なんとトップで走らされてしまう。
背後にいた二人はホームストレートに入るや、我慢できない感じで追い越していった。
大きなストライドと、絶対に追いつけないスピードで。
気が付けば、最終周の鐘だ。
徐々に落ちていくペースと、脚がリズミカルに動かないもどかしさを感じながら、ただ、もうこれ以上抜かれるのは嫌だの根性のみで走り続ける。
最後のホームストレート、気力のみで長い長い100mを走り切り、ゴーール。
ゴール後、酸素負債の影響で息があれるあれる。こんなに長い時間息があれるのは初めてだった。
30代の彼が見てくれていて、私の健闘をたたえてくれた。
出し切れた。
3分間の地獄。面白すぎて、病みつきになりそうだ。
(タイム:2分55秒48,65歳-69歳年代別:1位)